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ログイン投稿日:2024年11月27日
建築物を改修・解体するにあたって、規模の大小関係なく石綿が含まれていないか 事前に調査をしなくてはならないとなっておりますが、工作物に関しても同じように工事前に調査を行う義務があるのをご存じでしょうか。
建築物築物に関しては、【建築物石綿含有建材調査者講習】を修了した方による調査が令和5年10月から義務化されております。工作物に関しても、令和8年1月から講習修了者による調査が義務化されることになっており、今回紹介する【工作物石綿事前調査者講習】を修了した方が調査を行わなければいけません。ここでは【工作物石綿事前調査者】とは何か、修了し資格取得するにはどうすればいいかについて紹介していきます。
工作物石綿事前調査者の役割について解説します。
目次
工作物における石綿の使用の有無に関して正しく調査ができる者を指します。この資格を保有するためには、【工作物石綿事前調査者講習】を修了しなければなりません。
工作物を解体・改修する工事を行う前に、事前に工作物を構成している材料に石綿が0.1重量%を超えているか否かを調査し、依頼者に対して正確な報告書を提出する役割があります。
この調査は、書面による調査に始まり、目視調査、場合によっては分析調査があり、分析調査は分析機関から結果を是認した上で事前調査結果報告書をまとめ提出となります。
工作物について解説します。
建築物は建築基準法によって定義されております。建築基準法第2条1項に
「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。」
とあり、屋根・壁・柱のある住宅をはじめ、建物の土地に定着する門・塀、観覧のための工作物、店舗や倉庫などの施設が建築物に該当となります。
工作物は建築基準法で明確な定義はなく、工作物とは「土地に接着させて設置した建物以外の人工物」のことを指します。
住宅や事務所、店舗などの建物だけでなく、前述した建築基準法上の建築物に該当しない人工物も工作物に分類されます。
工作物石綿事前調査をする工作物について解説します。
調査をする工作物は、特定工作物があります。
石綿障害予防規則第4条の2第1項第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める物に掲げる工作物になります。
上記特定工作物に該当しない場合でも、対象工作物があります。それは塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業によるものです。具体的に塗料のほかモルタルやコンクリート補修材を除去するような作業を行う際には事前調査が必要となります。
特定工作物など各対象工作物に対し、事前調査を実施することができる者は以下の表のとおりになります。
区分 | 対象工作物 | 事前調査資格 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
特定工作物 | ・反応槽 ・加熱炉 ・ボイラー及び圧力容器 ・配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備などの建築設備を除く。) ・焼却設備 ・貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。) ・発電設備(太陽光発電設備や風力発電設備を除く。) ・変電設備 ・配電設備 ・送電設備(ケーブルを含む。) | 工作物石綿事前調査者 | ||||||
・煙突(建築物に設ける排煙設備などの設備を除く。) ・トンネルの天井板 ・プラットホームの上家 ・遮音壁 ・軽量盛土保護パネル ・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板 ・鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板 ・観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であるものを除く。) | ・工作物石綿事前調査者 ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・令和5年9月までに日本アスベスト 調査診断協会に登録された者 | |||||||
特定工作物以外の工作物 | ・上記以外の工作物 ※塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に限る。 |
ここからは、工作物石綿事前調査者になる方法を詳しく紹介します。
工作物石綿事前調査者になるには、【工作物石綿事前調査者講習】を修了し、修了試験に合格して工作物石綿事前調査者の資格を取得する必要があります。
この資格は、一度取得すれば有効期限や更新の必要はありませんし、技能講習のようなおおむね5年ごとに自己のスキルアップを目指して能力向上教育を受ける必要もありません。しかし、石綿に関する技術や情報は現時点でも日々新しくなっており、常に石綿に関する新旧のあらゆる情報をできるだけ多く収集する努力が必要とされます。
工作物石綿事前調査者の講習は、18歳以上かつ他に受講要件があります。代表的なのは【石綿作業主任者技能講習】を修了している者があります。
他にも多々要件がありますので、こちらの工作物石綿事前調査者講習受講要件を確認お願いいたします。
アスベスト関連の作業に従事する予定のある方や、将来的にそのような作業に関わる可能性のある方など、幅広い層の人々が工作物石綿事前調査者の資格取得を目指せます。
工作物石綿事前調査者になるための講習は2日間にわたって行われ、工作物石綿事前調査に関する基礎知識、石綿使用に係る工作物図面調査、現場調査の実際と留意点、工作物石綿事前調査報告書の作成について学びます。講習時間は合計で11時間となります。
講師陣は工作物石綿事前調査者講習を修了している者や労働安全コンサルタント、専門家が務め、テキストによる講義のほか、調査に関する実践的な講義も行われます。講習終了後には修了試験が実施されるため、講師が強調したポイントをしっかりと把握し、理解を深めることが大切です。
講習が修了すると、理解度を確認するための修了試験が行われます。試験内容は講習を実施している講習機関により異なりますが、30~50問の四者択一式の試験が1時間~2時間実施され、全科目の合計得点が満点の60%以上が合格基準です。
試験の結果は、試験終了後約30分で発表され、合格者にはその場でカード型の修了証が発行されます※1。
※1 講習機関によっては、後日終了証が発行され、郵送されるケースもございます。
工作物石綿事前調査者講習の受講料は、受講費とテキスト、資料代などを合わせて30,000円~60,000円程度です。また、写真代や切手代など受講料以外の費用が必要なこともあります。
講習機関によっては受講料やテキスト・資料代が異なる場合があるため、事前に確認する必要があります。受講する地域が同じでも教習機関によって受講費が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。
※弊社では、受講料(テキスト代等・税込み)45,000円、写真代や切手代は不要となっています。
工作物石綿事前調査講習の申し込みは、都道府県ごとの登録講習機関のホームページを通じて行います。これらは、各都道府県の労働局や労働基準協会連合、労働局登録講習機関など、都道府県労働局長の登録を受けた機関です。
講習開催日や申し込み期間は地域によって異なるため、事前に確認する必要があります。都道府県ごとの登録講習機関の情報は、厚生労働省のホームページで確認できます。
指定された日時に、申し込んだ講習機関で受講しましょう。
また、講習中の遅刻は認められておらず、各科目の開始前までに席に着いていないと欠席扱いとなります。遅刻や欠席により受講時間が不足すると、講習の修了が認められないため時間には十分注意が必要です。
工作物石綿事前調査者講習の修了考査は、2日目の講習が終わった後すぐに行われます。出題内容は講習機関によって異なります。
工作物石綿事前調査者の修了考査の合格率は公式には発表されていませんが、7~9割程度とされています。
講習を受け、講義内容をしっかりと把握していれば、合格は十分に可能です。出題内容は専門知識に関するものであり簡単とは言えませんが、難解な問題やひっかけ問題は少ないと言われています。重要なポイントには事前にマーカーを引くなどして復習し、講習で講師が強調した部分を中心に学習するとよいでしょう。
工作物石綿事前調査講習の資格を取得する際は、以下のポイントにも注意しましょう。
工作物石綿事前調査は、工作物に対して調査を行いますが、建築物に対しては、建築物石綿含有建材調査者講習を修了している調査者が行います。そこで調査対象物が「工作物」なのか「建築物」なのか判断しかねる場面があります。厚生労働省では、そういう場合も想定し両方の資格を取得することを推奨しております。また、両方調査対象になる可能性も考え、建築物石綿含有建材調査者、工作物石綿事前調査者の両方の資格を取得しておくことが望ましいといえます。
工作物石綿事前調査者の資格を取得する際、事前の勉強は不要です。しかし、試験内容は範囲が広いので、講習の内容を真面目に聞き、ポイントを抑える必要があります。講習内容をしっかりと聞いて理解していれば、修了考査の合格率は高いとされています。
工作物石綿事前調査者は、アスベストの除去が必要な現場で事前に調査を担うために必要な国家資格です。労働者と周辺住民の健康と安全を守るために不可欠な存在であり、その重要性は今後も高まることが予想されます。
東京技能講習協会では、工作物石綿事前調査者講習、建築物石綿事前調査者講習を行なっています。石綿に関する資格の取得を検討されている方は、ぜひ東京技能講習協会での受講を検討してみてください。
東京技能講習協会では技能講習、特別教育、安全衛生教育などの講習会を年間340日以上実施しております。実技講習の実施・受講をご検討中の企業度担当者さま、個人のお利用者さまはお気軽にご相談ください。
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