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化学物質管理者の選任に関するポイントとは?事業者が行うべき化学物質の自律的な管理についても解説

化学物質管理者

投稿日:2024年6月27日

化学物質管理者は、事業場で有害性や危険性を伴う可能性のある化学物質を取り扱う場合に選任しなければなりません。

そこで今回は、化学物質管理者の選任に関するポイントを紹介します。事業者が行うべき化学物質の自律的な管理についても解説しますので、化学物質管理者の資格を取得予定の方は、ぜひご覧ください。

化学物質管理者とは

まずは、化学物質管理者の概要を説明します。

化学物質管理者とは?

化学物質管理者とは、化学物質の技術的な事項を管理する資格者のことを指します。2022年5月31日に労働安全衛生規則の一部が改正され、化学物質の危険性や有害性の把握、低減・除去を進めるために、事業場で化学物質を取り扱う場合の化学物質管理者の選任が義務づけられました。

選任の義務化に関する背景

化学物質による労働災害の多くは、規制対象外のものが原因とされていますが、すべての化学物質を国が管理するのは非現実的です。そのため、化学物質管理者の選任を義務化することで、幅広い化学物質への柔軟な対応が可能になりました。しかし、規制対象外の化学物質に関して、各事業場で対策を取ることは容易ではありません。作業環境の改善が必要な第三管理区分と評価されている場合でも、人材不足や対策方法がわからずリスクアセスメントを実施していない事業場が多いのが現状です。そのため、事業場で化学物質を取り扱う場合は国の設定基準を守るだけでなく、化学物質への理解を深めて自律的な管理体制を整え、化学物質のリスクを低減・除去するための対策を検討する必要もあると言えるでしょう。

<リスクアセスメントとは>

リスクアセスメントとは、化学物質の有害性や危険性によるリスクを低減する対策を検討する作業のことを指します。リスクアセスメントを実施する手順は、以下の通りです。

また、リスクアセスメントを実施する際は、結果の内容を労働者へ知らせなければなりません。

化学物質管理者に求められる7つの職務内容

化学物質管理者には、以下の職務内容が求められます。

なお、ラベル表示やSDSの交付は自社製品の譲渡や提供先への危険性・有害性の情報伝達を行う場合のみ実施し、それ以外の職務は労働者の安全衛生確保を目的に実施します。

化学物質管理者の選任に関するポイント

ここからは、化学物質管理者の選任に関するポイントを解説します。

化学物質管理者の選任の義務化開始時期

化学物質管理者の選任は、2024年4月1日から義務化されました。化学物質管理者は、必要と判断された日から14日以内に選任する必要があり、選任後は該当者の氏名を事業場に掲示して、労働者に周知してもらうよう努めなければなりません。

化学物質管理者の選任が必要となる事業場

化学物質管理者の選任が必要となるのは、有害性や危険性のある化学物質を取り扱う事業場です。業種や規模は関係ありませんが、化学物質管理者を選任する場合は各事業場で実施する必要があります。ただし、取り扱う化学物質や従業員の数が多い場合など、化学物質管理者のみの管理が難しければ、外部の専門事業者に職務を依頼することも可能です。

化学物質管理者になるための要件は?

<リスクアセスメント対象物の製造事業場>

リスクアセスメント対象物を製造する事業場で化学物質管理者を選任する場合は、専門的な講習を受ける必要があります。化学物質管理者の資格取得に必要な講習は、以下の6つです。

また、東京技能講習協会では化学物質を取り扱う事業場向けの講習を実施しています。詳細は東京技能講習協会の公式サイトをぜひご覧ください。

<リスクアセスメント対象物の製造事業場以外の事業場>

リスクアセスメント対象物を製造していない事業場であれば、専門的な講習を受講していなくても化学物質管理者の選任が可能です。ただし、講習では化学物質の自律的な管理に関する専門的な内容も学べるため、化学物質管理者を選任するのであれば受講するのが望ましいと言えるでしょう。

化学物質の自律的な管理について

ここからは、化学物質の自律的な管理について説明します。

措置義務対象外の物質への対応はなぜ必要になった?

事業場で取り扱う化学物質の有害性が高い傾向にあることから、労働安全衛生法の改正前に674種類の物質が措置義務対象として追加されました。そうなると、各事業場で措置義務対象外の化学物質への対応が必要になりますが、化学物質による労働災害は、安全性の確認が不十分な規制対象外のものによって繰り返されてきたと言われています。化学物質に新たな規制がかかると規制対象外の物質に変更するケースが多いのです。

このような状況を解決すべく、厚生労働省は、化学物質の自律的な管理を進める目的で、2026年までに約2,900種類の化学物質を措置義務対象とした順次追加する方針を固めています。

事業者が行うべき対応

<取り扱い化学物質を把握する>

まずは、事業場のどのような場面で化学物質を取り扱っているか把握しましょう。複数の化学物質を取り扱っている場合は、化学物質の成分情報を確認してください。また、取り扱っている化学物質の把握後に、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」などでリスクアセスメントの対象に該当するか検索するのも良いでしょう。

<体制を整備する>

取り扱い化学物質が把握できたら、化学物質管理者を選任して事業場の体制を整備しましょう。作業中に保護具を使用する場合は、保護具着用管理責任者の選任も必要です。また、安全衛生管理の情報を共有して、労働者へ周知することも忘れてはいけません。

<リスクアセスメントを実施する>

事業者は、化学物質の取り扱いで健康障害が発生する可能性を把握したうえで低減・除去を進める義務があります。リスクアセスメントの結果をもとに、労働者が対象の化学物質にさらされる頻度を最小限にとどめなければなりません。また、厚生労働大臣が定める濃度基準値設定物質を基準値以下に抑えることも大切です。以下を参考にして、各事業者が対策を講じると良いでしょう。

労働安全衛生法の改正によって必要になった対応とは

ここからは、労働安全衛生法の改正によって必要になった対応を紹介します。

2023年4月1日からの規制項目について

労働安全衛生法で2023年4月1日から規制される項目は、以下の通りです。

2024年4月1日からの規制項目について

労働安全衛生法で2024年4月1日から規制される項目は、以下の通りです。

その他の化学物質規制で事業者に求められる対応について

厚生労働省の「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の概要」によると、有機溶剤・鉛・四アルキル鉛の中毒予防規則や特定化学物質予防規則、粉塵障害予防規則にもとづいた以下の対応が事業者へ求められます。

まとめ

化学物質を適切に管理するという観点から、化学物質管理者は非常に重要な役割を担う立場です。化学物質の管理業務に携わる可能性がある場合は、安全に業務に従事するためにも、可能な限り講習を受講することが望ましいでしょう。

東京技能講習協会では、「化学物質管理者講習に準ずる講習」の受講が可能です。リスクアセスメント対象物を使用する事業場(製造・譲渡以外)向けの内容になっています。

学科6時間、受講料はテキスト代込みで20,000円です。

化学物質管理者講習の受講をお考えの場合は、ぜひご検討ください。

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