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ログイン投稿日:2024年5月23日
テールゲートリフターは荷物の積み降ろしを効率化する便利な装置ですが、安全な操作には適切な知識と技術が必要です。
本記事では、テールゲートリフターの基本的な説明から操作に必要な資格の取得方法、そして労働安全衛生規則の改正について解説します。この改正により、荷役作業における安全対策の意識が一層高まっています。
テールゲートリフターの種類や使用するメリットを解説します。
目次
テールゲートリフターは、トラックの荷台後部に取り付けられた昇降装置で、荷物の積み降ろしを効率的に行うために広く利用されている装置です。特に重い荷物や精密機械など、慎重な取り扱いが必要な荷物の運搬にも適しており、フォークリフトが使用できない場所で活躍します。「パワーゲート」という呼称もありますが、これは極東開発工業株式会社の商標名です。
テールゲートリフターは、格納方法によって後部格納式と床下格納式の2種類に分けられます。
後部格納式は、ゲートをトラックの後部扉に格納する方式で、ゲートを展開すると扉の開閉が可能です。一方、床下格納式は、テールゲートを荷台の床下に収納するタイプで、手動で折りたたんで格納します。
テールゲートリフターは、動作方法に応じて垂直式とチルト式(アーム式)に分類されます。
垂直式は、ゲートが垂直に昇降するタイプで、不安定な荷物の取り扱いに適しており、不安定な荷物にも対応できる安定性が特徴です。一方、チルト式はゲートが弧を描くように昇降し、地面に接する際にはゲートが傾斜するという特徴があります。
テールゲートリフターは適切に使用することで、人力では困難な重量の荷物を簡単かつ確実に昇降できる装置です。これにより、荷物の積み卸し作業が迅速かつスムーズに行え、結果として業務の効率化と生産性の向上が見込めます。
テールゲートリフターの利用により、荷物の取り扱いにおける人力作業が大幅に削減され、従来の手動による荷物の積み卸し作業と比較して、労働者の身体への負担が軽減されます。労働者のけがや腰痛などのリスクを減らし、荷役作業における安全性の向上にもつながります。
荷物を適切に固定し、テールゲートリフターを使用して荷役作業を行うことで、荷物の落下やその他の事故による損傷を防げます。このようにして荷物の安全を確保することで、荷役作業の質が向上し、荷物の価値を守ることができるため、顧客満足度を高めることにもつながるでしょう。
2023年に労働安全衛生規則の一部が改正され、テールゲートリフターを使用する際の基準が変更されました。
ここでは、変更された内容について紹介します。
テールゲートリフターの使用に関連する労働災害が多発していることから、貨物自動車での荷役作業における墜落、転落などの事故を防ぐ目的で、2023年10月に労働安全衛生規則が改正されました。
労働災害の多くは、不適切な取り扱いやヘルメット未着用が原因で発生しており、改正された規則には荷役作業時の安全を確保するための具体的な対策が盛り込まれています。
昇降設備の設置義務は、これまで最大積載量5トン以上の貨物自動車が対象でしたが、改正後は最大積載量2トン以上の貨物自動車に範囲が拡大されています。
また、最大積載量が2トン以上5トン未満の貨物自動車でも、荷台の側面が開閉できる平ボディ車やウイング車、テールゲートリフターが設置されているものは、テールゲートリフターを使用して荷物を積み卸す作業を行う際に、型式検定に合格した保護帽の着用が義務付けられました。
労働安全衛生規則の改正に伴い、2024年2月1日からは、テールゲートリフターを使った荷物の積み卸しに特別教育が義務化されています。
特別教育は、貨物自動車に設置されたテールゲートリフターを使用して、荷物を積み卸す作業に従事する労働者が対象です。また、事業者は教育を受けた労働者の記録を作成し、3年間保存する義務があります。
運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる貨物自動車において、運転者が運転位置から離れる際の原動機の停止義務と荷役装置を最低降下位置に置く義務が適用除外となりました。
これは、収納位置が必ずしも最低降下位置でないことや原動機を停止すると動かせないことがあるためです。ただし、確実にブレーキをかけるなどの逸走防止措置は引き続き義務付けられています。
テールゲートリフターの特別教育を実施せずに労働者に作業を行わせた事業主は、労働安全衛生法第59条第3項に違反し、最大6ヵ月の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。
さらに、特別教育の記録を保存しなかった場合も、同法第103条第1項に違反し、50万円以下の罰金が科されるため注意が必要です。
テールゲートリフターの使用による労働災害が増加しており、特に荷物や作業者の転落・倒れによる事故が多いことが懸念されています。トラックドライバーの死亡事故は、テールゲートリフター使用中に発生することが多く、約7割が荷役作業中です。
この問題に対処するためには、適切な服装や装備の着用、ストッパーの使用、危険な動作の回避、ロールボックスパレットの適切な取り扱いが求められます。
ここからは、テールゲートリフターの特別教育について詳しく見ていきましょう。特別教育の内容は、厚生労働省によって定められています。
学科教育は、4時間行われ、初めの1.5時間は、テールゲートリフターの種類や構造、正しい取扱い方法に加え、点検や整備の手順を学びます。続く2時間の講習は、荷物の取り扱い方、台車の使用方法、保護具の着用方法、そして災害を防ぐための対策についてです。最後の0.5時間は、労働安全衛生法令におけるテールゲートリフター使用時に関連する条項について学びます。
実技教育は2時間にわたり、テールゲートリフターを安全に操作するための正しい操作方法を学びます。
なお、特定の条件を満たす場合は、テールゲートリフターの操作に関する特別教育の一部科目を省略可能です※1。
※1 弊社では、一部科目省略対象者は出張講習にのみ適用されます。
テールゲートリフターの特別教育では、テールゲートリフターの操作者の対象を18歳以上としています。また、受講が義務化されたのは2024年2月1日からですが、これまでテールゲートリフターを使用してきた人も受講対象者です。
稼働スイッチの操作、キャスターストッパーなどの操作、昇降板の展開や格納の操作を行うすべての人に受講義務があります※2。
※2 荷を積み卸す作業を伴わない定期点検等の業務、貨物自動車以外の自動車等に設置されているテールゲートリフター、介護用の車両に設置されている車いすを対象とする装置等の操作の業務は含まれません。
講習会場での外部受講は、各種協会・教習所などが実施しています。指定された日時に会場に行くだけで受講できる手軽さが魅力的ですが、定員が決まっているため、自身のスケジュールと講習の日程を比較して早めに予約しましょう。
出張講習は、会社に講師を招き自社内で行います。会社に都合のよい時間帯に特別教育を行えますが、会社側が会場や実技を行う機材の用意をする必要があり、社屋が狭い場合は別途会場を借りなければなりません。
また、地域によっては人数制限がある場合や講師が不足している場合もあるため、事前に確認が必要です。
テールゲートリフターの特別教育を講習機関で受講する際の料金の目安は以下の通りです。
コース | 受講料金 |
学科・実技コース | 約14,000円(テキスト代を含む)(税込) |
免除(学科のみ)コース | 約10,000円(テキスト代を含む)(税込) |
実技のみコース | 約2,000~10,000円(税込) |
受講料金は、講習を受ける機関によって異なります※3。正確な金額は、受講する講習機関のホームページで事前に確認しましょう。
※3 弊社では、学科・実技コースを行っております。
2024年1月31日以前に、荷物の積み卸しを伴うテールゲートリフターの操作業務を6ヵ月以上行っていた場合、「テールゲートリフターに関する知識」の教育時間が45分、「テールゲートリフターの操作方法」については1時間免除されます。
労働安全衛生規則の改正に伴い、荷役作業の安全性が一層重要視されるようになりました。テールゲートリフターの安全な操作には、適切な資格取得が必須となっています。
物流や運輸業界での需要が高まる中、安全かつ効率的な作業を実現するためにも、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
東京技能講習協会では、テールゲートリフター特別教育を行なっています。特別教育を受講する教習協会を探している場合は、ぜひ検討してみてください。
東京技能講習協会では技能講習、特別教育、安全衛生教育などの講習会を年間340日以上実施しております。実技講習の実施・受講をご検討中の企業度担当者さま、個人のお利用者さまはお気軽にご相談ください。