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石綿作業主任者とはどんな仕事?石綿取扱特別教育と石綿作業主任者技能講習の違いなどを解説

投稿日:2024年5月23日

石綿作業主任者は、アスベストを扱う現場で安全管理を担う大切な役割をもちます。

本記事では、石綿作業主任者の仕事内容や資格を取得する方法を詳しく紹介します。石綿取扱特別教育と作業主任者技能講習の違いについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

■石綿作業主任者とは

石綿作業主任者の業務内容や役割について解説します。

・石綿作業主任者とは?

石綿作業主任者とは、2006年に導入された労働安全衛生法に定められている国家資格です。アスベスト(石綿)は人体に悪影響を及ぼすことが判明し、使用が全面的に禁止された2006年に導入されました。

アスベストを取り扱う現場では、石綿作業主任者を配置することが義務付けられており、建設業や解体業で需要のある資格です。また、この資格は建築物石綿含有建材調査者の受講資格でもあります。

・石綿作業主任者の業務内容

石綿作業主任者の業務内容は、アスベスト除去が必要な現場での作業監督や指揮を担うことです。作業方法の決定、排気・換気設備の点検のほか、保護具の使用状況の監視や、労働者への作業指揮や退避指示、汚染の除去などを行います。業務の主な目的は、作業者が石綿を吸い込まないようにすることであり、そのためには石綿の性質や安全な作業の進め方に関する確かな知識が必要です。

就職先としては、建物の解体業者や内装工事会社、アスベスト除去の専門業者が中心となりますが、古い船舶などにもアスベストが使われているため、その分野での需要もあります。

また、レベル1・レベル2の石綿建材が使用されている建築物の作業には、所轄の労働基準監督長に計画届の提出が必要であり、その作成も石綿作業主任者の業務です。

・石綿作業主任者の役割

石綿作業主任者の役割は、現場での適切な対応と判断を通じて他の従業員の安全を守ることです。また、作業員だけでなく作業現場周辺の住民を守るためにも重要な役割を果たします。

石綿の健康被害は将来の健康に影響を及ぼす深刻なものであり、適切な対応が必要です。今も石綿を含む建物が多く残っており、これらの解体や改修作業では石綿作業主任者の設置が必須であるため、今後ますます需要が高まると予想されます。

■石綿作業主任者になるには

石綿作業主任者になるには

ここからは、石綿作業主任者になる方法を詳しく紹介します。

・必要な資格

石綿作業主任者になるには、石綿作業主任者技能講習を修了し、修了試験に合格して石綿作業主任者の資格を取得する必要があります。

この資格は、一度取得すれば有効期限や更新の必要はありませんが、資格者にはおおむね5年ごとに自己のスキルアップを目指して能力向上教育を受けることが推奨されています。ただし、この教育は義務ではなく努力目標であり、受講しなかったとしても資格が失効することはありません。

・作業主任者技能講習の内容

<受講資格者>

石綿作業主任者の講習は、18歳以上であればどなたでも受講可能です。受講するための実務経験なども必要ないため、アスベスト関連の作業に従事する予定のある方や、将来的にそのような作業に関わる可能性のある方など、幅広い層の人々が石綿作業主任者の資格取得を目指せます。

ただし、労働基準法の年少者労働基準規則により、18歳未満の人はアスベスト関連の作業が認められていないため、講習を受けることができません。

<学科>

石綿作業主任者になるための技能講習は2日間にわたって行われ、石綿による健康障害及びその予防措置に関する知識、作業環境の改善方法、労働衛生保護具、関係法令について学びます。各項目の講習時間は、「健康障害及びその予防措置に関する知識」、「作業環境の改善方法に関する知識」、「関係法令」がそれぞれ2時間、「保護具に関する知識」が4時間です。

講師陣は労働安全コンサルタントや防護具メーカー社員、医師などの専門家が務め、テキストによる講義のほか、防護マスクなどの実物を用いた実践的な講義も行われます。講習終了後には修了試験が実施されるため、講師が強調したポイントをしっかりと把握し、理解を深めることが大切です。

<修了試験>

技能講習が終わると、理解度を確認するための修了試験が行われます。試験内容は講習を実施している協会により異なりますが、20~25問の三者択一式の試験が1時間実施され※1、各科目の得点が満点の40%以上かつ全科目の合計得点が満点の60%以上が合格基準です。

※1 弊社では、20問の三者択一式の試験を行っております。

試験の結果は、試験終了後約30分で発表され、合格者にはその場でカード型の修了証が発行されます※2。

※2 講習機関によっては、後日終了証が発行され、郵送されるケースもございます。

<費用>

石綿作業主任者技能講習の受講料は、受講費とテキスト、資料代などを合わせて10,000円~20,000円程度です。また、写真代や切手代など受講料以外の費用が必要なこともあります。

講習会場によっては受講料やテキスト・資料代が異なる場合があるため、事前に確認する必要があります。受講する地域が同じでも教習機関によって受講費が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。

※弊社では、受講料(テキスト代等・税込み)14000円、写真代や切手代は不要となっています。

・受講の流れ

<申込>

石綿作業主任者技能講習の申し込みは、都道府県ごとの登録講習機関のホームページを通じて行います。これらは、各都道府県の労働局や労働基準協会連合、労働局登録教習機関など、都道府県労働局長の登録を受けた機関です。

講習開催日や申し込み期間は地域によって異なるため、事前に確認する必要があります。また、一部の講習機関では特別教育のみを提供しており、技能講習を受け付けていない場合もあるため注意してください。都道府県ごとの登録講習機関の情報は、厚生労働省のホームページで確認できます。

<受講>

指定された日時に、申し込んだ講習機関で受講しましょう。

また、講習中の遅刻は認められておらず、各科目の開始前までに席に着いていないと欠席扱いとなります。遅刻や欠席により受講時間が不足すると、講習の修了が認められないため時間には十分注意が必要です。

<試験>

石綿作業主任者技能講習の修了試験は、2日目の講習が終わった後すぐに行われます。出題内容は教習機関によって異なりますが、問題数や試験方法はほぼ同じです。

・合格率

石綿作業主任者の修了試験の合格率は公式には発表されていませんが、9割程度とされています。

技能講習を受け、講義内容をしっかりと把握していれば、合格は十分に可能です。出題内容は専門知識に関するものであり簡単とは言えませんが、難解な問題やひっかけ問題は少ないと言われています。重要なポイントには事前にマーカーを引くなどして復習し、講習で講師が強調した部分を中心に学習するとよいでしょう。

・石綿取扱特別教育との違い

石綿作業主任者は、作業者を指導・監督するための資格であり、特別教育を修了しているだけでは作業主任者にはなれません。

石綿作業従事者特別教育は、アスベストを扱う現場で実際に作業する者が受ける必要がある教育で、講習時間は約4.5時間です。一方、石綿作業主任者技能講習は、作業現場での指揮や監督を担う資格で、講習時間は合計10時間となり、その後修了試験に合格する必要があります。

特別教育は、石綿取扱作業に従事する際の必要最低限の知識を習得し、修了試験がないため比較的容易に取得可能です。一方で、技能講習は特別教育よりも内容が深く、労働者を指導する立場になるため、より豊富な知識が求められます。

<学科の内容>

石綿の危険性の理解と適切な対応方法を学ぶのが、石綿取扱作業従事者特別教育です。

石綿取扱作業従事者特別教育には実技講習がなく、約4.5時間の学科講習のみで修了します。内容は、石綿の有害性に関する基礎知識、石綿等使用状況の解説、石綿等の粉じん発散抑制措置、保護具の適切な使用方法、石綿等のばく露防止に必要なその他の事項です。各講義は、石綿の有害性に関する説明が0.5時間、使用状況、粉じんの発散抑制措置、保護具の使用方法、その他の防止措置の説明が各1時間割り当てられています。

■石綿作業主任者技能講習の受講をする際のポイント

最後に、石綿作業主任者技能講習を受講する際に押さえておきたいポイントを解説します。

・原則としてネット申込推奨

石綿作業主任者技能講習の申し込み方法は、教習機関によって異なりますが、多くの場合インターネットを通じたホームページからの申し込みが基本です。スマートフォンやパソコンを使って、指定されたウェブサイトから申し込みます。

スマートフォンやパソコンの利用が難しい場合は、まれに郵送やFAXでの申し込みを受け付けている教習機関もあるため、事前に電話等で教習機関に相談しましょう。

・申込後はキャンセル不可

石綿作業主任者技能講習の申し込み後、受講をキャンセルする場合でも原則として受講料は返還されません。そのため、申し込み前にスケジュールの確認は念入りに行う必要があります。

日程変更は1回に限り認められますが、変更可能な期間はおおむね6ヶ月までです。また、講習では遅刻が認められておらず、各科目開始前までに着席していなければ欠席扱いとなり、講習が未修了となります。公共交通機関の遅延などやむを得ない事情がある場合は、速やかに遅延証明書を提出し、日程変更の手続きを行ってください。

・テキストの事前送付は対応していない

石綿作業主任者技能講習で使用するテキストは受講当日に配布されるため、講習前にテキストを入手して予習を行うことはできません。使用されるテキストは、石綿作業主任者テキスト(中央労働災害防止協会編)です。

講習内容をしっかりと聞いて理解していれば、修了試験の合格率は高いとされています。したがって、事前にテキストを入手できなくても合否への影響は少ないでしょう。

■まとめ

石綿作業主任者は、アスベストの除去が必要な現場で作業監督や指揮を担うために必要な国家資格です。労働者と周辺住民の健康と安全を守るために不可欠な存在であり、その重要性は今後も高まることが予想されます。

東京技能講習協会では、石綿(アスベスト)作業従事者特別教育、石綿作業主任者技能講習を行なっています。石綿に関する資格の取得を検討されている方は、ぜひ東京技能講習協会での受講を検討してみてください。

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